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映画 奇跡 [映画]

この前の土曜日公開の話題の邦画群の一つ
まえだまえだには思いいれゼロだけど
是枝監督は前作の癒さない孤独描写がツボだったので
監督買いで鑑賞決定

両親の別居で離ればなれになった兄弟が
新幹線がすれ違うときに願い事をすると叶う
という噂を信じて旅に出る話

うわ
なんかいい話になりそうな設定

泣ける話だったら困る

奇跡

平日の夜なので客入りは半分弱
デート選択がメイン?
年齢層はけっこう高め


これは良かった
子供たちが本当に良かった

まえだ兄弟のバランスはもちろん
その他の友人群の個の立ち方も良い
キャラが立ってるというよりは
いい具合の実在感がありまして

子供たち
というくくりで語られるんじゃなくて
ちゃんと一人一人の個として描かれているので
そりゃ楽しいです

奇跡
というタイトルで
バラバラになった家族を戻すために旅に出る
というあらすじなんか耳にしちゃうと
人気子役がけなげ演技を全開にして
泣かせにかかるシナリオを予感せずにはいられませんが
それはミスディレクションです

ここに出てくる子供たちは
子供らしい無邪気さと同時に
世の中のどうにもならない諸々を
それぞれ別々のレベルや方向性で抱えながら
旅に出ています

奇跡に対する距離感も
何も起こらないであろうことは知っています
けども
もしかして・・・という気持ちも失ってない
という絶妙な感覚を持っています

けなげではありますが
同時にちゃんとしたたかでもあって
大人を泣かせるためではなく
自分のために旅に出かけます

なんかもう
ちゃんとしてます

個人的には
子供たちがひたすら走りまくる描写だけで
この子たちに好意を持ってしまうので
あとは応援するだけ
みたいな簡単な観客でした

というわけで
子供の成長物語が好きな人にお勧め

子供が絶対に嫌いな人は
絶対に観ないと思いますが
あえて言いますが
お勧めしません

大人に気を使ってけなげさを振りまいて
涙を誘うようないやらしい子供は出てきません

ので
マルモで毎週泣いてる人が
それ目当てで観ると物足りないかもしれません

そういうんじゃないんだ
大人が期待する子供が子供として振る舞うんじゃなく
個を意識し始めた子供が
その個に気づき伸ばし始める成長物語なんです

もしかしてたぶん
むしろ子供向け

子供だっていろんな属性もってます
けなげさの裏に面倒だったりする部分もちゃんと
持ってます

あと
小学生くらいの子供がいて
どういうスタンスでいたらいいのか
迷っている親にもお勧めかもしれません
迷ってなくても楽しく観れるんじゃないかと思います

というわけで
ネタバレ含みの詳細感想は以下

こまかく描写分析とかしてると
アホみたいに長くなるのでこれでもざっくりです

F1010053.jpg


鹿児島と福岡で離ればなれに過ごす兄と弟
兄は母と
弟は父と

兄は
降りくる灰になじめず
グチっぽく
二人の男友達と仲良くしているものの
離ればなれで過ごすことに対する暗い思いを
ひきずりっぱなしです

彼は家族四人が楽しく過ごしていた頃の夢を見ます

すんでいるのは母の実家のおかし屋です
祖父はおかしづくりは引退
祖母は面倒見がよくフラダンスを練習しています
母は地元で職を探していて
それが兄を不安にさせています

ここで母が落ち着いてしまっては家族が元に戻れなくなる!

弟は
いつでも走っています
プールで母親と一緒にいる他の子供の姿に
つい目がいってしまうものの
そのスイミングスクールからも走って帰宅
誰にでも明るく挨拶して人なつっこく
怠惰なバンドマンである父の代わりに
日常の雑事をてきぱきとこなします

家はボロ長屋で父はバンドを再結成して
バイトで生活費を稼ぐ生活ですが
弟はつらそうな様子を見せません

彼は父母が喧嘩している時の夢を見ます

ああいうのはもう二度とゴメンなんだけどなぁ

というわけで
奇跡による願い事が
家族を元通りに!というのは
実は兄だけの願い事です
兄弟の願いは・・・みたいな話じゃないのです

二人は兄弟で同じように生活してきただろうに
すでにこんなにも違います

この兄弟の差異は他にも至る所で見られて
しっかりしてそうで家族復活を夢見る子供っぽい兄と
無邪気に見えて現実を受け入れるリアリストの弟
という描写がされますが
再会するとちゃんと兄が兄っぽく見えるとか
10歳前後の子供がこれだけいろんな面をみせられるとか
当たり前だけど忘れがちな点もちゃんとしてます

さすがリアル兄弟

まえだ兄の不機嫌な子供演技が実に見事で
序盤はこいつはグチばっかりでうぜぇなあ
と思わされたのに
終盤では不覚にもかっこいいなコイツ!と思わされました

まさに成長する子供のまぶしさ

さて物語は
兄が友人から
新しく開通する新幹線が
最初にすれ違うその時に生まれるエネルギーで
流れ星のように願い事が叶う
という話を聞くところから転がります

何の根拠もない妄言で
半信半疑という彼らですが
その後近所の踏切での
電車すれ違い時の婆さん消失を目の当たりにして
ちょっとだけ奇跡を信じる気持ちが生まれます

この婆さん消失事件ですが
ずっと手持ちのカバンを探っていたので
忘れ物を思い出して戻った
とかそういうことなんだと思います

真相はよくわかりませんが
電車がすれ違った後に
さっきまでいた婆さんがいなくなってる
という事実だけで十分です

そのもしかしてあるかもしれない奇跡に
兄は家族の生活を願うことになりますが
単に再開を願うんじゃなくて
桜島が噴火して引っ越しを余儀なくされて
元いた大阪に戻る事を願います

願いは火山の噴火

弟にも伝えて
願い事ツアーの計画が持ち上がり
それぞれの友人たちに
どんな願いを叶えてもらうかを語る場面が入るのですが
ここでの会話のフリーっぷりとか
ほぼドキュメントのりです

ここで大事なのは
あくまでも
この子供たちがその奇跡を
純粋に信じきってるわけではない
という点で

それぞれが語る夢について
その距離感はさまざまです

あこがれの女性教師との結婚
イチローのようなプロ野球選手
女優になる
努力なしで絵がうまくなる
ベイブレードがうまくなる
仮面ライダーになる

最初に語られる夢の数々ですが
一見子供らしい夢に見える女優の夢は
母が元女優で本人もすでにスカウトされて
地元のCM?に参加する程度には活動をしているとか
すでに現実に一歩を踏み出していたり
プロ野球選手を目指す彼が
朝食はカレーという部分をマネしていたり
本当に距離感は様々です

旅の計画ですが
途中で一度
兄サイドの友人から旅の中止が申し入れられます
自分の夢が叶いそうにない事をしったからですが
その判断の軽さの残念な子供っぽさとか絶妙です

しかもそんな彼の言葉に他の二人も反論する言葉を
持ち得ないグダグダな感じがまさに子供の世界

結局は母の涙を見た兄が
たとえ奇跡が起こらないとしても
旅には出るべきだと決心し
陰で奇跡に頼らずに練習したりしたりとか
それぞれうごいていた友人たちもあっさり同意して
計画が再始動します
ここでもまた判断の軽さが今度は魅力として発揮とか
たまりません

こどもぉぉぉぉ(大雑把な声援)

兄がどういう思いで決心したのかも
推測するしかありませんが
自分が弟と会うことで母の寂しさを解決したいとか
そういう兄らしい判断じゃないかとか
とにかく一人の男としての決断だと思われます

さて
兄たちは旅の資金を自販機の下探りとか
手持ちのおもちゃ売りとかで集めます

その頃
陽気で子供っぽく見えるけど
じつは現実家の弟は
父と交渉して資金を調達するとか
やっぱり見事な世渡り上手っぷりです

いろんな人を巻き込んで
彼らの冒険は始まります

この旅の開始からどんどん願いの内容が
変わっちゃうのがまた子供らしくてたまらないですが
どう考えてもそれこそ本当の奇跡が起こらないと無理
という願い事についても
友人たちは無理だとは言いません

彼らにとって奇跡は完全に無いことではないのです
ほぼ無いことは知っているけれど
信じることを止められない
くらいの配分が素晴らしい


旅先で知るいろいろな事実や
起こるいろいろな事件や
出会ういろいろな人との関わりで
彼らの願いに少しずつ変化が生まれます

そして
ついにやってくるその時
その瞬間は本当に瞬間として描かれます
ここまでの様々がフラッシュバックしますが
それも瞬間の中の一コマとして描かれているように見えます

それが終わっても
もちろん何も急な変化はありません

そしてその事について誰も文句も不満も語りません
ただ起こらなかった事を受け入れます

みんな
そんな奇跡が起こらないことは最初から知っていて
それを確認しただけです

彼らは信じることを止められなかった
その子供としての一部だけを現場において
帰途につきます

この辺の淡々とした描写が本当によくて
もう一回見直したいぐらい

駅のホームでの兄弟の会話のかっこよさとか
素晴らしいですよ

それぞれ
自分の道を確信したり
痛みを実感したり
知らなかったことを知ったり

子供が成長する
と一言で言っても
それはそれぞれによって異なるのというのを
ちゃんとそれぞれにあった形で見せてくれるとか

結局は子供がちゃんと個として存在することと
いろんなものを置いていったり拾い上げたりして
成長することがただ気持ちいい
といういい物語でした

本当に細かい描写で子供の心情の揺れが見えたりするので
それぞれの願いとその変化に注目してみると
人間が好きな人にはたまらない魅力にあふれた物語と
思います

旅に出てから出会う人・聞く話・見つけたもの・起きる事件なんかが
それ以前の彼らの思いにいろんな影響を与える部分とか
子供達以外の人たちの振る舞いとか
語るのが楽しい部分は他にも色々あります

別にでかい事件が起きなくとも
人が変化・成長する物語はおもしろいです

成長する一番の存在はやっぱり子供だし
子供の急激な成長に大人が気づかされることも
たくさんあるんだという話

子供がいなくともそれを感じることができるから
映画っていいですね
とか知った風な発言

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コメント 2

ihuru

この映画の感想をサーフしていて辿りつきました。
本当に子供たちの個がたっていて、それぞれの存在感が素晴らしかったですね!
わたしはこの映画、まえだまえだの兄弟だとは気づかぬまま見ていて、本物の兄弟みたいーと思っていたら、正真正銘本物の兄弟だったっていう。苦笑
一泊二日の旅を通して、みんながそれぞれ少しだけ成長している。ほっこり優しい気持ちになれた映画です。
by ihuru (2015-05-30 07:21) 

いぬみち

もうあまり内容は覚えてないのですが
いい映画だったと思います

コメントありがとうございました
by いぬみち (2016-02-10 20:01) 

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