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映画 やぎの冒険 [映画]

監督が中学生だとか
命を食べるということがどうこうとか
この映画について
別にそれほど惹かれるものはなかったのだけど
今週は他に観たいのもないし
月末はそんなに観れないっぽいし
人によっては大絶賛とのことで鑑賞決定

あらすじとかは良くわかりませんが
飼ってたやぎを救うとかなんとか
そういう話?

やぎの冒険

劇場はスカスカ
上映10分前で
好きな席どこ?って聞かれるレベル

内容的には
商業映画の饒舌説明映画に比べれば
ずっと集中して観られて良かったのですが
それほど衝撃とかもなく
ああ
結構ちゃんとしてんだな
と思ってがっかりしてるとか
失礼な感想

そもそも飼っている動物を食う
という事については
身内に畜産関係者がいるせいで
結構小さい頃から納得してしまっている事もあって
それほどショックでもなくて

ただ誤解しないようにしないといけないのは
この作品ではそこにショックを受けているのは
都会育ちの主人公の子であって
映画全体としてはいろいろ受け入れているポジションです

あと
最終的な主人公の選択へのプロセスも
過去の似たテーマを含むブタとかかたつむりよりも
ずっと納得しやすい理屈に見えるので
そういうロジックをちゃんと見せる
沖縄の中学生監督すげぇ!
とは思いました

説明を絵で行うという基本的な部分は
見ていてよく理解できたので好印象ではあるし
ショックを受けた子供がそれほど行動的ではない
という描写の現実感にはぐっときたわけですが
なんにせよ
やぎの冒険シーンが長くて
おっさんにはちょっと眠気タイムでした

前の回を観ていたと思われる
小学生中学年くらいの女の子が
ちょっとどうかと思うくらい泣いていたので
子供を連れて行くには覚悟が必要かも

大きく面白い映画ではないので
一般的な感性の小学生男子は
連れていっても何の反応も期待できないかも?

青田買いが好きな人は是非
なにしろ中学生ですから

沖縄言葉に字幕がつかなかったので
ちょっと何言ってるかわからないところもちらほら
でもスタッフロールに字幕スタッフもいたんで
もしかして見逃したのかも?

以下はネタバレありの感想です
納得した所を中心にざっくりと

20110116143419.jpg


少年のハードボイルドな旅立ち場面や
親の言うことを適度に無視するお年頃感や
相手によって態度を変えるこずるさとか
序盤の描写はかなり好みです

少年が祖母の家にやってくるわけですが
そこで地元の子供と話している場面で
すでにちょっと外国語的な雰囲気
何言ってるかわからないのが微妙なストレス

この祖母の家の
やっかいな感じのおじさん?が
この映画で一番のおもしろキャラで
この人が出ている時間は眠くなりませんでした

物語は田舎生活を楽しんでいたら
二匹飼っていたやぎが一匹いなくなってて
売ったよ?
と言われて探しに行ったら丸焼きになってて
ショック!という展開で

一緒に世話をしていた地元の子供も
その丸焼き現場に普通にいたりすることから
主人公の都会っ子は
完全に孤立を深めて残り一匹のやぎ小屋の前で
座り続けるとか地味な反抗に出ます

それが日常の地元の人たちにとっては迷惑な話ですが
彼も別段それを口にするわけでもなく
ただ小屋の前で座っているという事で
簡単にかわいそうだとかなんとか言わせないことに
誠実さを感じました
子供だってかわいそうとか言ったところで無力なのは
わかっていますよそりゃ
あそこでそんなこと言ってんの一人なんですから

座り込みを続ける彼のすぐそばで
やぎのつぶし方を丁寧にレクチャーするおじさんとか
やっぱりこのおじさん絡みの場面ははずれなしです

好感が持てたのは
その後残りの一匹も売られてしまう展開で
ずっと小屋の前に張り付いている彼が
目の前で連れ去られるやぎを
何の抵抗もできずにただ見ているしかできない
という点で

その後に事故が起きて
やぎが逃亡してやぎの冒険場面が展開するわけですが
その途中で主人公がやぎを見つけた時も
追いかけてきた地元民たちが
捕まえようとするのをただ見ているだけと
同じ描写を重ねる徹底ぶりです

つまり
彼は飼っていたやぎが殺されることに抵抗を感じつつも
助けるための理屈も手段も思いつかない都会の子供で
しかも一人だけそのポジションなので
ただ立ち尽くすとかないとか
別に子供じゃなくても社会じゃよくある風景で
ちょっと胸がつまるいい描写です

泣きながらやめてよーとかやられたら
どうしようかってのは杞憂に終わりました

さて
この追いかけっこの最中に
地元の子供ととっくみあいの喧嘩になるのですが
この場面でのポジショニングを巡る攻防のガチっぽさとか
なかなか面白かったです
地元の子の殴り方が弱いのはちゃんと手を抜いてる
っていう描写なんでしょうか

現れたやぎによって喧嘩は中断し
やぎ鬼ごっこが延々と続きます
きれいな景色の中の追いかけっこですが
ここでちょっと眠くなっちゃいました
目が覚めるほどの絵だった
ノルウェイの森ほどのインパクトはないです
当たり前です
そこで負けるわけにはいかんでしょう

夜になってからの二人の会話もかなりいい場面です
地元の子供の体は小さいし女の子みたいな顔なのに
言動が兄貴体質っていうキャラ立ちっぷりは見事です
あの子はいい


野宿の中でエビを食う場面の二人の会話も重要ですが
それよりも大事と思われる
犬におびえて何やら叫ぶシーンで
何言ってるのか聞き取れないのが痛かったです

ラスト
海を見つめる主人公のそばに
やぎが寄り添う場面から
料理が振る舞われているシーンにつなぐことで
彼の決断がわかるようになっていますが
あの野犬におびえる場面で
自分もまた食料になりうる
ということを察したからこその受け入れ
だと思うわけです

舞城王太郎のデビュー作のタイトルが大好きなのですが
命を食べる議論の身も蓋もない結論として
この理屈は一番しっくりくるし
ブタやかたつむりでちょっと感じる
人間のエゴに対する違和感も解消できて
そういう視点から結論にもっていっている
というだけで
中学生なのに立派だなあ
と感心するばかりです

全体としては
食うために飼うって事に嫌悪感を示す人たちに
だって昔からそうやって生きてきたんですよ?
と丁寧に説明してもらった気分でした

でも
別にそこに嫌悪感も何もないので
ただ
感心だけして終わってしまった
という

ただ
朝を迎える前に差し込まれた
自宅においてある時の空の虫かごカットが
何を表しているのかがわかってないので
もしかしてその結論も全くの見当違いかも

思わないでもないです

中学生からの挑戦に敗北した気分
って
別に脚本まで彼ってわけじゃないんだな

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