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映画 ACACIA-アカシア- [映画]

猪木と辻仁成
鑑賞理由は怖いもの見たさ

知ってるのは
猪木が元プロレスラーで
他人の子供を預かるとかで
たぶん親子の絆とかそういう話?

ACACIA ーアカシアー

今日から公開ですが
客席は上映30分前でも
余裕があります
と案内されるレベル

内容は
辻世界を理解していないまま観たせいか
何が言いたいのかがわからないのは当然として
何が行われているかすら良くわかりません

出てくる人たちがロクに会話しないせいで
コミュニケーション不全感というか
素直に気持ち悪い印象で
しかもそういう描写が
現代社会の人情不足なんかを問題として
描いているわけではなさそうで
どうやら人の繋がりとかを
訴えている雰囲気みたいなものはあって
もう何がなんだか

この辺の違和感が
故意に何かの演出として行われているのか
そもそも根本的に食い違っているかすらわからず
興味の持てない人たちの
薄ぼんやりした後悔やら復縁やらを
納得しづらい展開で見せつけられるばかり
という

この三年間で観た映画の中で
一番わかんない上に
一番興味がわかないという不思議な映画でした

辻仁成の良さがちゃんとわかる人にお勧めです

猪木の演技はちゃんと学芸会風ですが
プロレス仕込みの表情芸は抜群なので
台詞回しがわからない外国人には
受けるんじゃないでしょうか

後はもうなんというか
妙な映画が観たい人にはお勧めです
台詞のつながりがもうクラクラする感じ

あまりに理解不能な展開のせいで
あらすじを思い出せるかどうかも自信がありませんが
がんばって思い出すネタバレありの感想は以下
混乱しているので長いです

ぴあ映画生活へのリンク↓
ACACIA -アカシアー@ぴあ映画生活

P1000122.jpg



老人が集まっている団地が主な舞台

草原にたたずむ猪木の元へ
やってくる追いかけられている少年
いじめられている場面ですが
いじめっ子の第一声
「Tシャツやぶかせろよー」
にいきなり衝撃を受けます

猪木という圧倒的異物を前に
まるで彼が存在しないかのように
いじめ(Tシャツ破り)を継続するいじめっ子たち
「こらー」
と猪木が怒鳴ると急にびっくりして
なんだこいつー
とか言って逃げ出しました

すでに辻ワールド始まってます

辻世界の特徴その1
そこにいる相手をまるで意識しないかのように喋る

この演出はこの後もずっと続きます
上記の猪木の前でいじめ継続から始まり
子供のいる前で痴話喧嘩とか
子供を捜している保護者を前にして自殺話とか
子供相手にややこしいヘビーな身の上話とか
とにかく
適切でない相手に適切でない話題を語る人たちばかりです

辻世界の特徴その2
直接的な台詞まわし

「Tシャツ破らせろよー」という直接要求とか
「貸した金返せよ」~「いるのはわかってんだよ」の
ベタすぎる流れとか
終盤の「大魔神おまえ裏切ったな」とか
賞もとってる作家とは思えないほどの
ひねりのない素直な全自動感あふれる台詞の数々により
自然と観ている自分がバカに思えて
脱力する効果が半端ないです

猪木に追い返された借金取りがちゃんと逃げ際に
「くそーおぼえてやがれー」
と言ったのを観たときは感動すら覚えました

さて

その子の母親が急に息子をこの元プロレスラーに預けます
プロレスラーもあっさり受け入れます
そこに困惑がないので
奇妙な同居生活で徐々に仲良くなるという
おいしい展開が十分に見えてきません
一応「君」付けから呼び捨てへと変化はあります

さて登場人物たちも理解困難です

まずは主人公の猪木ですが
彼の過去には妻子がいて
その思い出の記念写真が
若い猪木・若い妻・デストロイヤー風マスクの子供
という異常写真なのです

大事な息子の顔を隠して記念写真を撮るという思考が
まるで理解できないのですが
もしかしてこの子供には生まれつき障害があって
自分の顔を嘆き悲しむのでマスクをかぶらせている
とかそういう話かと思って
重い過去話への覚悟を固めて見続けていると
その後に現れる元妻が
息子はいじめを受けていた
と言うので
いよいよ見た目にハンデを抱えていたのだな

異物を排除する社会への怒り描写を待ち構えますが

元妻が語るには
いじめの理由は父親が悪役レスラーで
反則で勝つから
とか割とどうでもいい理由で
びっくりします

そもそも
この夫婦が息子を失った事故というのが
父親である猪木のせいだと思わせながら
実はその時父は巡業中だったとかで
巡業中のプロレスラーが息子がどうにかなった時に
その場にいなかったことを責められる
とかどう考えていいのかさっぱりわかりません

そもそも息子の死因も最後まで良くわかりませんでした


終盤に出てくる
この元妻というキャラクターがまた強烈で
知らない子供に自分の息子の命日がどう
とか重い話をねっとりと聞かせ
何年も生きていないこの子供相手に
ショッキングな出来事の辛い記憶を
時間が解決してくれるわけでもないとか
その思い出が私を世界に縛り付けてどうとか
面倒な自分語りを聞かせた上に
ホテルまで送ってもらってお茶も飲まさずに返すとか
ちょっといい歳の大人としてどうなんだ?
とかなんとか

あとホテルの入り口あたりで
子供相手に
ここに帰ってくると思い出すからイヤなんだけど
あの人に会わなくちゃと思って来てしまった
とか電波発言をくりだすのですが
だったらホテルに帰って来ちゃダメだろ
とか思うばかりです
行動原理が不明すぎ

その後もこの子供の前で元夫を
ヒステリックに責め立てて子供に叱られたり
他人の子供自分の子供のように見たりと
サイコ行動を繰り返し
一人でホラー/サスペンス系のキャラを演出していますが
最終的に子供の話はどこかへやったまま
元夫と抱き合って終わるとか
何がなんだか

片方の主人公とも言える少年も
もちろんいろいろとよくわかりません

少年は母親に
父は死んでいると聞かされていたのに
実は生きていることを急に知らされたわけです


この少年は父親に会うことを酷くいやがるのですが
その理由がいまいちわかりません
母親に好きな人がいて自分がお荷物だから預けられている
という認識を持つような醒めた少年が
死んだと思ったけど生きていた父を
憎むような要素が思い至りません
なにもなかった所に憎しみを生むのって
大変じゃないですかね

そもそもいじめられている理由も良くわかりません
いじめっ子が
「おまえのTシャツって簡単に破れるな!」
とか言っていたので
どうやらTシャツが破りやすいからいじめられている
みたいに見えます

もしかすると片親だからいじめられる
とかそういう自動的な説明なのでしょうか
それじゃあまりに安易すぎ


この子が老人猪木の言うことを
やけに素直に聞くわけです
毎日プロレスを教えてやると言われて喜び
船に乗せてやると言われ喜び
宇宙人に会わせてやると言われ喜びます

宇宙人に会わせるとか唐突すぎて
なんだかわかりませんが
この時の会話
猪木「本当の父親に会った方がいいと思う」
子供「相手が会いたくないかもしれない」
猪木「会ってみなきゃわからない」
子供「宇宙人もあってみなきゃわからない」
なんだ?この会話

その後も
猪木が唐突に子供のジーンズの後ろに縫いつけた
錨ワッペンをみて謎のフラッシュバックをかました
老人仲間が謎の行動の末に事故にあった時
子供「人って死ぬとどうなるの?」
猪木「人は死ぬと星になるんだよ」
子供「そうか!だから星は光ってるんだ!」
どういうことですか?

こんな無茶な話をたやすく信じる少年ですが
町で「恵まれない子供に愛の手を」と
募金を呼びかけている人たちを見て
「あんなのは嘘で自分は将来テロリストになって
幸せそうにしている人たちを破壊する」
とか物騒なことを口にしたり
おそらく無償で預かってくれている老人の前で
「恵まれない子供だから寄付してよ」
とか言っちゃう無神経な少年でもあるわけです

この二面性に説得力を持たせる描写が
必要だと思うのですが投げっぱなしで
無邪気な子供とも殺伐とした子供とも思えず
なんだか良くわからない頭のおかしい子みたいで
困惑するばかりです

猪木と子供の交流で一番ショッキングだったのは
偶然路上で母親が若い男と言い争いをしている場面を
二人で目撃したときに
声を掛けようとした子供を猪木が制して
「よく見てごらん。
 あの二人は喧嘩をしているわけではないよ」
とか言って
二人は結局いちゃついているだけ
という展開で
幼い子供にとって自分の母親が
父親ではない男性と女の顔でつきあってる場面を
昼間っから見守るとか地獄ような話だと思うのですが
この話は単発エピソードなので先の展開には
特につながりません

母親を一人の女性として解放する小学生
って大人すぎる判断だろそれは


ここまで物わかりのいい子供の癖に
無駄に父親を拒絶していたかと思ったら
猪木が子供の心をつかんだ手法を丸パクリした
父親のアクションで
あっさり心をつかむことに成功するという
展開に唖然です
結局子供なのか大人なのかわかりませんでした

この父親というのが
主な舞台となる老人密集団地に来ている
ケースワーカーの北村一輝なのですが
彼がなぜだか腹話術を使うキャラなのです

腹話術自体は
老人のご機嫌をとるための手段だと思うのですが
割と日常生活の中にも腹話術人形を取り込んでいて
気味が悪いです

おまけに上手に腹話術をしてはいるのですが
なにやら大事な台詞を言ってそうな場面に限って
聞き取れない
という困った場面が多く
しかも辻監督はそういう時に限って
時間たっぷり使って余韻を持たせるので
何を言ったかわからない
という余韻を味わう羽目になりイライラします

腹話術人形の首をぶっこ抜いて見つめる場面の直前に
何て言ったんでしょう?

独り言を腹話術人形との会話にするのも相当ですが
主人公の少年の母親と別れた後に
別の女性と家庭を作っている彼が
娘たちに「おまえたちには兄がいる」
というショッキングな情報を伝える方法も腹話術で
娘たち大喜びで妻も困惑しながらも認めるとか
なんだか理解がはやくて良かったね
という投げやり描写です

出てくるメインキャラのほとんどの行動が
衝動的で筋の通った物語として受け取りづらく
最終的に子供の両親が猪木になんのケアもしないとか
終盤の猪木の見た夢が抽象的すぎる上に延々と続き
意味が良くわからないとか
切りのいいまとめも用意してもらえず
釈然としないまま終わってしまって
徒労感ばかりが残る鑑賞となりました

いったいなんだったんだろう
これ

今はもう二度と観たくない
と思うばかりです

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