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映画 アンヴィル!~夢を諦めきれない男たち~ [映画]

Perfumeという3人の20そこそこの女の子達が
横浜アリーナの1万2000の客をガン上げする様を
目の当たりにした興奮をそのままに
六本木まで映画を観に行ったのは
単純にこの映画がレイトショーしかしてないから
休日前にしか観られないし
土曜の夜は翌日が映画の日で
一日映画を観るつもりなので
夜更かしできないから


この映画を観ようと思ったのは
かつて栄光を味わったメタルバンドが
ビッグになりたいという夢を
50になっても捨てられないという流れに
生死が直接かかわらない「レスラー」が
観られるんじゃないか
とか
もっとすっきりと「レスラー」を観たい
とか
そういう強い欲求があったから

アンヴィル! ~夢を諦めきれない男たち~

副題とかいらないと思うんだけど
ないと内容がさっぱりわからなくなるから
仕方ないとかそういうことでしょうか

深夜とはいえ六本木
10人以上は入っていました
いつも行くような映画館のレイトショーより
ややテンション高めの客層

内容は最高
というかみっともない元成功者を
悲しくも笑える
くらいのテイストに料理するかと思いきや
普通に泣いちゃうよこんなもん
いや
涙は流さなかったけど

メタルには音楽的に共感できないし
それは映画を観た後でも変わりませんが
別に嫌悪感があるわけでもなくて
その程度の興味しかない者として聴いても
本人達が傑作だという最新曲は
普通にちゃんとかっこいい音として聴けるし
映画内の地元大手レコード会社の偉い人が言うほど
時代に合わないとも思えないというか

というか最初に言うべきはメタルの話ではなく
「レスラー」とは違うということです
雰囲気だけで判断しちゃいかんです
ドキュメンタリーだけど
いや
ドキュメンタリーだから?
ずっといろんな要素が絡んでて
ずっとポジティブな空気に包まれています

いや
観る側の環境のせいかもしれない

ともかく本当に音楽しかできないタイプの
パーソナリティーという
ヴォーカルにしてギタリストであるリップの
激しく振れまくる感情の浮沈を観るに
こいつは死ぬまでロックし続けるなあと
ワクワクする気持ちで一杯です
カッコいい

日本人でジャンルにこだわらない音楽好きを
自称するならば
ほとんど義務的な意味も込めてお勧めです

単に転落物語を笑っちゃうつもりで行くなら
勧めはしないけど楽しめるかもしれません
ただ
彼らの強がりの何パーセントかは
単なる強がりじゃなくて本心なんだと
勝手に確信しているので

それを笑って済ませるような人は多分
友達にはなれない人なんだろうと思います

というわけで
個人的な鑑賞タイミングのせいで
なぜかPerfumeについても語りつつ
本当のオチも含めたネタバレ込みの
バカ長い感想は以下

200910310146000.jpg


Perfumeはアイドルなのでメタルと違って
いくつになっても続けられるかどうかについては
どうしても疑問を持たざるを得ないのです
本人達もいつまでも続けるというコメントは
ところどころで出してはいるものの
求めてくれる人がほとんどいない状況で続けることは
どうやら本意ではなさそうで
だからファンは熱狂を伝えるために必死です


アンヴィルはその熱狂を味わったが故に
そのまま30年という長期にわたりバンドを継続し
しかも大半を失意のままに過ごしている
という切ない状況に陥ってるわけです

なにしろメタルファンでなくとも
名前は知ってるメタリカだのガンズだののメンバーが
最高だの影響を受けてるだの言うバンドですよ
それが成功しないという
解散したわけでも
ヴォーカルが死んだわけでもないのに
どういうこと?

とはいえ
最初に映し出されるバンドのキーマンである
リップスは給食センターで働いてて
車のハンドルを握りつつ
ひたすら給食メニューのローテーションについて
語ったりしていて
とてもじゃないけどロックスターには見えません

こいつはダメかも?

この物語には最初は
ダメになっちゃってるのに気づいてない男
を観ているような気分で入り込みました


彼らは昔の輝かしい記憶だけを抱えて
停滞を続けていたわけではありません

端から見ればブームの過ぎたジャンルで
同じ事を続けているだけに見えるかもしれませんが
彼らの中にはどうやら確信的に続ける意味が見えていて
ただひたすらそれを追求しているようなのです

間違いなくミュージシャンです

普通の仕事で金を稼ぎ
週末のライブを楽しみにしているバンドマン
それだけの話ならわざわざ映画で観る必要はないのです

問題は彼らに過去の栄光だけでなく
尽きることのない情熱があったということです
今の生活で満足することだってできるはずです
地元ライブハウスでの誕生日ライブは
暖かいファンに囲まれて実に楽しそうです

ところが夢はロックスター・ビッグサクセス

可能性を求めてメール一本でつられて
カナダからヨーロッパツアーにでかけます

可能性は情熱しかない女性マネージャー
ハンパない勢いでへまをしまくります
電車に乗り遅れ道に迷い
余計な金を使うことになったり
ギャラがシチューだけになったり
おかげでバンドのテンションは急降下です
なにしろ10000人入る会場で150人を前に演奏です
新宿ロフトレベルか?

繰り返されるトラブルに殺気立つメンバー
切れたり宥めたり切れたり許したりするリップ
なんかこいつ本当にいい奴なので
この辺からひたすら成功を願うばかり

思い返すに低迷したのは
音へのこだわりがアルバムに反映されてないからじゃ?

反省した彼らは全盛期の頃のプロデューサーに連絡
再び組んでアルバムを作ることにします

何しろメタルのプロデューサーなんて知らないので
この人が悪人だったらどうしようとか
制作者が意図していないようなサスペンス要素を
勝手に盛り込んでドキドキする鑑賞者です
頭が悪いね

どうやら音自体は評価してくれたみたいだけど
アルバム作るのに200万ほどいるとかで
彼らは困ってしまいます

なんと
200万も払えない?
円でしょ?ドルなの?

金のためにファンの紹介で
テレアポのバイトをするリップ

けれど音楽バカにありがちな
生真面目な性格にテレアポは無理です
すぐに断念

でも
アルバム制作は
今やらないとダメなんだよ

様々な周囲の期待を
何より10代からずっと一緒だった
ドラマーの友人の信頼という
50のおじさんには過剰で突飛な責任を
それでも背負って夢を語るのっぴきならないリップ
この時点でもう泣いてます
勝算もないどころか
敵がどこにいるかも
戦場がどこにあるかも知らされないまま
栄光に向けての戦いを決意する様を
涙なしに観られるかって話です

結局肉親の協力という超裏技でレコーディング開始
とはいえ
10代の息子のデビューのために金を出すのとは
わけが違います

なにしろ50代で13枚目のアルバムです
目の前に死体の山が見えてる状態で金を出すのです
狂気の沙汰ですよ

順調に行われるレコーディング
プロデューサーともいい感じ
そんななか唐突に親友同士の喧嘩勃発

この奔放な天才型人間と堅実な補佐型人間の
奇妙な友情は壊れてしまうのか
堅実ドラマーがほとほとまいったという様子で
奔放を受けきれないという話の最中
天才が謝罪をします
とはいえ
ちょっとの反論に火がついて
結局また喧嘩になりますが
ほとんど痴話喧嘩です
いちゃついてんのかガチ喧嘩かわかりません
もちろん最終的には仲直りします

そして完成するニューアルバム
本人達も納得の出来です

扱ってくれるレコード会社がない

どこにCDを送っても反応がない
地元のEMIは会ってはくれたけど
バンドの音が合ってない
と言います
時代とか会社の方針とか
そういうものに合ってないんだって
音楽家が新しい価値を提示せずに
時代の顔色うかがうようになったらおしまいだろ

結局自分達で大量にプレス
ファンに直接売ることにします
ミュージシャンは全員そうすべき
とか言い出します
誰か彼らにiTunes教えてあげたらいいのに

ツアーに続いて明らかに失敗に見えるアルバム
しかしツアーはやってよかったと言うし
アルバムも納得できたから成功と言います
甘ちゃんの強がり?
単なる見栄?
全部正解だとは思います

つまりそれが彼らの音楽の本質です
全くぶれてません

さて
ここまでの彼らの苦闘を観ていて
激しく彼らを応援しつつ
ずっとイライラさせられている点がありまして

なぜ日本でプロモーションしない?

ヨーロッパツアーに現れた日本人は
日本にはファンが多いから来てくれ
と言いますが彼らは笑ってきいています

日本人の音楽的雑食性はハンパないです

熱狂の度合いは外国人には遠く及ばずとも
とりあえず口に入れてそれなりに食らって
気がつくと何となく消化している
という文化雑食ぶりをなめちゃいかん
と思っていたのですが

彼らに舞い込む東京での仕事
LOUDPARK?
ヘビー音楽のフェスですね?
アンヴィルは
ほとんどオープニングアクトの扱い
彼らは怯えます
昼間っからフェスに客は来るのか?
広い会場で少しの客とか嫌なんだ
彼らのポジションは
2007年のPerfumeのサマソニみたいなもんです
つまり
日本の客は熱狂でもって彼らを迎えます

日本のメタルの客層のなんか異様なリアルさ加減が
非常に泣かせます
アンヴィルの苦労とか知らずとも
盛り上がる日本のメタルキッズ達
誇らしいくらいの気分
というか苦労を知っていたら
さらに盛り上がるだろう
というか合唱もしてたから
ちゃんと知ってて盛り上がってたのか?

本当にこういう日本は素晴らしいな

別に日本のライブで暖かく迎えられたからといって
彼らはビッグになったわけではないです

とはいえ
既にニューアルバムの制作にとりかかっているという
彼らは変わることなくビッグを目指し続けています
日本で盛り上がってたからいいや
という感じではなさそうです

これはもしかするともしかするのか

18そこそこの小娘達が次第に自信をつけていったように
50代の彼らが再び単独でアリーナを一杯にするような
そんな奇跡が起こったら
とつい夢の一部を引き受けちゃいそうになる
楽しい作品でした

気になっていた
映画内で扱うレコード会社のなかった13枚目ですが
日本ではソニーミュージックが扱ってるそうです

いや
買いませんけどね
って音楽自体は本当に趣味じゃないんですよ
カッコいいとは思いますけれど

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コメント 2

ジジョ

遅ればせながら観てきました☆
>とりあえず口に入れてそれなりに食らって
気がつくと何となく消化している
という文化雑食ぶりをなめちゃいかん
↑すごく納得!

メタルは食わず嫌いというか、
なんか見た目がダメ〜って感じだったので、
とりあえず口に入れたら、意外と食べれるかも?
と思えた映画でした☆
by ジジョ (2009-11-26 14:19) 

いぬみち

コメントありがとうございます

無闇に前向きになれるいい映画でした

アンヴィルに対してもメタルに対しても
好意的な人たちが増えそうで
ネガティブな面がほとんどないのがよかったです

ドキュメンタリーといわれると
なんとなく深刻な問題を描かれると思いがちなので
そういうのも口に入れてみないとわからないみたいです
by いぬみち (2009-11-27 08:04) 

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